FX
東京市場でドル円、ユーロドルの動き
本日、ドルと円の取引は、朝方には「ドル売り・円買い」が強まって、一時153円97銭まで円が高くなりました。この動きの背景には、ウクライナの状況が不安定になり、投資家たちがリスクを避けるために、安全な資産である円を買ったことがありました。特に昨日、ロシアがウクライナに向けて大陸間弾道弾(ICBM)を発射したというニュースが流れ、ウクライナ空軍がこれを発表しました。もしICBMであれば、戦争で使われるのは初めてということで、不安が広がったわけです。しかしその後、アメリカなど西側諸国が「ICBMではない」と表明し、さらにロシアのプーチン大統領も「これは新型の中型ミサイルであって、ICBMではない」と否定しました。
そのため、ドル円は153円台にまで落ちた後、少しずつ回復し、現在は154円台半ばで取引されています。この動きは、プーチン大統領の発言で状況が少し落ち着いたことから、円売りが増えたためです。
また、ユーロとドルの取引については、昨日1.04ドル台に下がったユーロドルが1.04ドル後半で安定しています。ただ、ウクライナの状況への警戒もあって、一時1.0462ドルまで下がる場面もありました。これに対して投資家たちは過剰反応ではないかと慎重になっています。
ユーロと円の取引では、朝の時点で円高になった影響とユーロが売られたこともあり、161円20銭までユーロ円が下がりました。しかしその後は円売りが進んで午後には162円台まで回復しました。昨日の取引では163円台から161円台まで大きく下がったため、少し下がりすぎているという見方も出ていました。
さらに、ニュージーランドドル(NZドル)の売りが目立ちました。対ドルで0.5826ドルと、去年11月1日以来の安値となりました。また、今年の7月に付けた豪ドルとNZドルの比率での高値1.1151を超えたため、「ストップロス」(設定した価格で自動的に損失を確定する仕組み)が発動し、さらに豪ドルが買われてNZドルが売られる動きが強まりました。来週のニュージーランド中央銀行が0.5%の利下げをするのではないかという警戒感が、NZドルの売りにつながっていると考えられます。
ロンドン市場でのユーロとポンドの動き
ロンドン市場では、ユーロの相場が急激に下落しました。その理由は、フランス、ドイツ、そしてユーロ圏全体のPMI(企業の景気感を示す指数)の速報値が予想を下回り、景気が今後どうなるか不透明感が広がったことです。その結果、ユーロの取引が減り、ユーロドルは1.04ドル台後半から1.03ドル台前半にまで下がりました。また、ユーロ円も162円台を割り込み、一時160円台まで急落しました。
さらに、イギリスのPMIも弱い結果だったため、ポンドも売られることとなり、ポンドドルは一時1.25ドル台を割り込みました。ユーロとポンドの相場でも、ユーロが一時的に売られた後、ある程度買い戻されました。
最後に、ドル指数(ドルの強さを示す指標)は年初来の高水準を更新し、ヨーロッパ株やアメリカ株の先物取引も軟調に推移しています。欧州中央銀行(ECB)の総裁や副総裁からはアメリカの関税引き上げに対する警戒感が示されました。
ドル円は154円台で上下に動き、方向性に欠ける状況が続いています。米10年債の利回りが少し下がったこともありましたが、これは欧州の債券利回りの低下に影響された面が強いようです。
仮想通貨
チャールズ・シュワブの仮想通貨への計画
アメリカにある大手の投資会社「チャールズ・シュワブ」という企業の次期CEOであるリック・ワースター氏が、アメリカのルールが変わったら、仮想通貨の取引に参入する可能性があると話しました。このことは、ブルームバーグが11月22日に報じました。
チャールズ・シュワブは投資ブローカーと呼ばれる会社で、投資をしたい人々をサポートする役割を持っています。この会社が仮想通貨の取引に興味を持っている背景には、今後のアメリカの政治的な変化があります。特に、仮想通貨に対して肯定的な考えを持つドナルド・トランプ氏が再び大統領に就任することとなったため、ワースター氏たちは規制環境(法律やルールの仕組み)が変わることを期待しています。そして、もし仮想通貨のルールが変わるようであれば、それに備えて準備しているようです。
ただし、ワースター氏自身は今のところ仮想通貨に投資する予定はないそうです。しかし、仮想通貨に投資したいと考えている顧客をサポートするつもりだとも話しています。彼は次のように述べています。
「仮想通貨は確かに多くの人の注目を集めていて、それで大金を稼いでいる人もいます。私は今まで仮想通貨を買っていませんでしたが、今ではそれが少し愚かだったように感じることもあります。」
このように、仮想通貨に対して興味を持ちつつも慎重な姿勢をとっています。
実際にチャールズ・シュワブは、2021年の時点で仮想通貨サービスを提供することについて「慎重に検討している」と言っていました。しかし、そのためには法律や規制がはっきりと定められることが必要だとして、それを待つ姿勢をとっていたのです。その際に、CEOのウォルト・ベッティンガー氏も、「仮想通貨サービスを始めるときには、既存のサービス(すでに他の会社が提供しているサービス)よりももっと革新的で、顧客のことを第一に考えたものにするだろう」と語っています。
現在、チャールズ・シュワブは「現物の仮想通貨」(実際のビットコインやイーサリアムのような仮想通貨そのもの)を取り扱ってはいません。しかし、その代わりに、顧客が仮想通貨の先物取引(未来の価格を予測して投資する方法)や信託商品(他の人に資産を預けて運用してもらう投資方法)を取引できるようにはしています。また、2022年には独自の「Schwab Crypto Thematic ETF」というものを立ち上げました。これは、仮想通貨そのものに投資するのではなく、仮想通貨に関連する企業の株式に投資するという商品です。
このように、チャールズ・シュワブは仮想通貨の可能性に注目しつつ、今後の規制や状況の変化に応じてサービスを提供していく方針を示しています。仮想通貨に対してすぐに大きく動くわけではありませんが、もしルールが整えば、顧客にとって便利で革新的なサービスを提供する準備を進めているということです。
トランプ氏の新しい計画と仮想通貨への挑戦
ドナルド・トランプ氏が次期アメリカ大統領になることが決まった後、彼のソーシャルメディア会社が新しい「TruthFi(トゥルースファイ)」という名前を商標登録しました。この「TruthFi」は、仮想通貨の取引や決済サービスに使う可能性があるとされています。
この商標登録は、11月18日にアメリカの特許商標庁(USPTO)に提出されました。登録内容を見ると、「TruthFi」はデジタルウォレットとして使うためのソフトウェア、仮想通貨や普通のお金の決済処理、デジタル資産の取引などに関連しているようです。簡単に言えば、「TruthFi」は仮想通貨を使ってお金を管理したり、支払いをしたり、売買をするためのアプリのようなものになるかもしれません。
さらに、登録内容の中には、「他の人のために金融資産を管理する」サービスについても触れられています。これは「カストディサービス」と呼ばれるもので、他の人の財産を安全に保管して管理する役割を持つサービスです。また、「TruthFi」には、投資に関する市場のデータや統計を提供する機能も含まれるかもしれないとされています。
商標代理人であるジョシュ・ガーベン氏は、11月21日にX(旧Twitter)に投稿して、トランプ氏の会社が仮想通貨に関するプラットフォームを作ろうとしている可能性があると述べました。具体的には、デジタルウォレットや仮想通貨を使った決済、デジタル資産の取引プラットフォームの提供を計画していると考えられています。
トランプ氏が53%の株式を保有するトランプ・メディア&テクノロジー・グループ(TMTG)がどれくらい仮想通貨に関心を持っているのか、またどんな計画を持っているのかはまだはっきりしていません。この会社の主な活動は、今までは「トゥルースソーシャル」というソーシャルメディアプラットフォームの運営でしたが、これから仮想通貨にも手を広げようとしているようです。
アメリカ特許商標庁のウェブサイトによると、現在は今年の4月17日から5月1日までに提出された商標申請を審査中で、新しい商標の登録には少なくとも12〜18か月かかるとされています。また、手続きが複雑なために遅れる可能性があるとも言われています。
「フィナンシャル・タイムズ」によると、TMTGは「バックト」という仮想通貨取引所の全株式を購入するための交渉を進めているとのことです。この「バックト」という取引所はインターコンチネンタル取引所が所有していて、もしこの取引が実現すれば、トランプ氏の会社が仮想通貨の世界にさらに深く進出することになります。
さらに、トランプ家は今年9月16日に「ワールド・リバティ・ファイナンシャル」という分散型金融(DeFi)プラットフォームを立ち上げました。しかし、その後のトークン販売は期待通りにはいかず、計画していた3億ドルのうちわずか3.4%しか売れなかったようです。
また、トランプ氏は自身の写真や画像をNFT(ノンファンジブル・トークン)コレクションとしてライセンス供与しています。NFTはデジタルアートやアイテムの所有権を証明するための仕組みで、最近では人気が高まっています。
トランプ氏が選挙で勝利したことを受けて、仮想通貨の市場は急上昇しています。特にビットコイン(BTC)は9万8000ドルを超え、もう少しで10万ドルに到達しそうです。トランプ氏の選挙キャンペーンでは、仮想通貨に対する規制を緩和することや、ビットコインの準備金を設立することなど、仮想通貨に友好的な公約をいくつか掲げていました。
要するに、トランプ氏の会社は仮想通貨に関していろいろな新しい動きを見せており、それがどう展開していくのか注目されています。